動画の基本商品の動画をつくり、SNSにも上げている。広告も出している。それなのに、商品が売れない。サプリや化粧品、食品を自社で売っている社長から、よくうかがうお話です。
2009年から通販動画をつくってきて感じるのは、制作費をかけた動画ほど商品が売れる、とは限らないということです。きれいに撮ることも、わかりやすく編集することも大切です。ただ、1本の完成度を高めるだけでは、答えきれないことがあります。
「自分に必要なのか」「ちゃんと使えるのか」「どれを選べばいいのか」「信用しても大丈夫か」「この値段で買う理由はあるか」
お客さんは、買うまでにいくつもの迷いを抱えています。その迷いに、順番に答える動画がそろっているか。私たちは、ここが大切だと考えています。自社の商品を売るなら最初にそろえたい5本の動画を、実際にあった話とあわせて紹介します。
1本目 商品紹介:誰の、どんな悩みに役立つか
1本目は、「誰のための商品か」が伝わる動画です。伝えるのは機能の一覧ではなく、「この商品は、誰の、どんな悩みに役立つのか」です。
以前、同じ番組枠で放送していたのに、早朝の時間帯だけ反応がよかったサプリがありました。年齢を重ねた方に向けたサプリで、届けたい相手は60代の方たちです。早朝にテレビを見ている人と、その商品を必要としている人が、ちょうど重なっていたのだと思います。
誰に届けるかで、反応は変わる。この経験から、商品紹介でも最初に「誰のための商品なのか」を伝えたいと考えています。たとえば、食品なら「忙しい日の夕食づくりに困っている方へ」。化粧品なら「夕方になると肌の乾燥が気になる方へ」。
機能を説明する前に、見ている人が「自分に関係がある」と気づける入り口をつくります。まず、「これは自分のための商品かもしれない」と感じてもらう。商品紹介は、そこから始まります。
2本目 使用実演:使う場面を、実物で見せる
2本目は、使い始めから使い終わりまでを見せる実演の動画です。大きさ、使い方、使う量、使ったあとの状態。買う前に想像しにくいところほど、言葉より映像のほうが伝わります。
ただ、ここには落とし穴があります。以前、大手メーカーの美顔器の動画で、使ったあとの変化を見せるシーンがありました。時間をかけて施術をしても、わかりやすい差を画に出すことができませんでした。動画は再生されましたが、商品は売れませんでした。少なくとも、その実演では商品のよさを伝えきれなかったと感じています。それ以来、実演で伝えたいことが映像でわかるかを、撮影の前に確かめるようにしています。
目に見える変化だけが、実演の見せどころではありません。化粧品なら、伸び方や1回に使う量。食品なら、調理の手順から盛りつけまで。サプリなら、粒の大きさや容器の開けやすさ。
「自分にも使えそうか」「毎日の生活に取り入れられそうか」。お客さんが判断したいところを、実物で見せます。使う場面が想像できると、買う前の不安がひとつ減ります。
3本目 選び方:自分に合うのは、どれか
3本目は、商品の違いと、選ぶ基準がわかる動画です。商品がいくつかあるなら、「どれがいちばんいいか」より、「どんな人に、どれが合うか」を伝えます。
しょうゆメーカーさんの動画を制作したとき、しょうゆは料理によって使い分けるものだと教わりました。刺身にはこれ、焼き物にはこれ。同じ刺身でも、赤身と白身で合うものが違います。
「全部おいしいです」と言われても、お客さんは選べません。でも、「白身の刺身に合わせるなら、こちらです」と言われれば、自分の食卓に置き換えて考えられます。違いを並べるだけでなく、その違いが使う人にどう関係するのかまで伝える。自分に合うものがわかると、「気になるけれど、選べない」という状態から抜け出せます。
4本目 購入前の疑問:残った不安に、1つずつ答える
4本目は、買う前の疑問に答える動画です。いいなと思っても、最後の一歩で止まる人がいます。「本当に信用していいのか」も、そうした不安のひとつです。
ある商品の動画で、「テレビで紹介されました!」という一文を、動画のあいだずっと画面に出しておいたことがあります。映像も構成もナレーションもそのままで、その一文を加えたところ、反応がよくなりました。売り手の説明だけでは埋まらなかった信用を、テレビで紹介された実績が補ってくれたのだと思います。
もちろん、気になることは信用だけではありません。「1日にどれくらい使うのか」「保管に場所を取らないか」「注文してから、いつ届くのか」「定期購入の条件はどうなっているのか」。売り手には当たり前のことでも、初めて買う人にはわかりません。
問い合わせで繰り返し聞かれることは、短い動画の題材になります。1本ですべてを説明しようとせず、1つの疑問に1本で答えてもかまいません。買う直前に残る不安に答えることも、動画の役割です。
5本目 開発背景:なぜ、この形にしたのか
5本目は、こだわりの理由がわかる動画です。ただし、こだわりを語るだけでは伝わりません。「なぜそうしたのか」を、お客さんにとっての意味とあわせて話します。
たとえば、サプリの粒を小さくしたのなら、「小さくしました」で終わらせずに、「毎日飲むものだから、飲みやすい大きさにしたかった」まで伝える。そうすると、つくり手の工夫が、見ている人に関係のある話になります。容器を変えたのは、最後まで使いやすくするため。小分けにしたのは、必要な分だけ使えるようにするため。こだわりは、お客さんの言葉に置き換えたときに、価値として伝わります。
なぜ、この形なのか。なぜ、この量なのか。なぜ、この素材なのか。つくり手の判断が見えると、お客さんは品質や使い勝手を考える材料を持てます。その理由に納得できれば、価格のほかにも選ぶ理由が生まれます。
まず取りかかる3つのこと
最初から5本すべてをつくる必要はありません。まずは、次の3つから始めてみてください。
- 買う前によく聞かれる質問を、10個書き出す
- その質問を、5本の動画のどれで答えるかに振り分ける
- 購入直前の問い合わせで繰り返し聞かれる質問から、1本つくる
すでに動画があるなら、その動画がどの質問に答えているかを確かめてみてください。商品紹介はあるけれど、選び方がない。使い方は見せているけれど、購入条件の疑問には答えていない。そうやって見直すと、次につくる1本が見えてきます。
動画をつくる道具はAIで大きく変わりましたが、何を伝えるかを決める出発点は、いまもお客さんの迷いです。お客さんが、買う手前で何に迷っているのか。その答えになる1本から、つくってみてください。自社の商品でどの1本から作るか迷ったら、お気軽にご相談ください。
商品と、今困っていることを送ってください。担当者からメールでご連絡します。
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